在宅避難者の名前も避難者名簿に!

3月11日の地震の直後に東北地方に住む親族や知人の安否の確認に奔走された方は多いと思います。私もその一人ですが、内陸部の北上市ですら2日間連絡が取れず大変心配しました。吉里吉里の叔母家族とはずっと連絡が取れず、安否情報にも名前が出てこないため、県やIBC放送の情報やGoogle Person Finderなど毎日目を皿にして探しました。吉里吉里にいち早く入った方から見かけたらしいとの一報を戴いたのですが、Googleがアップロードした大槌町の避難者リストを一つずつ確認していっても名前が載っていません。結局、現地入りした岩手県議の高橋博之さんに直接無事を確認していただいたのが震災から1週間後でした。

叔母の家は幸いにも津波の難を逃れることができ、その後ずっと避難所の手伝いをしていたそうですが(避難所に避難しているわけではないので)避難者リストに名前が載らなかったようです。叔母の家族も同様で、1週間経ってようやく無事が確認できました。不幸にして亡くなられた方や行方不明の方が沢山いらっしゃる中、無事が確認できなかった位は我慢しろと言われればそれまでですが、現地入りして確認する以外の連絡手段が途絶していた状況でしたので、個人宅に避難していた方も避難者リストに載せ開示して貰えれば良かったと思います。(各地域で住民の安全確認はされている筈なので、災害時の情報開示の指針改善でなんとかなる話だと思います)

岩手県災害対策本部の4月3日まとめでは、県内の総避難者は4万9,020人で、その半数の2万4,327人は在宅避難者とのことです。これらの在宅避難者は避難者名簿では確認出来ません。

避難者名簿に登録されないことで支援物資の配給にも影響を与えています。幸い吉里吉里では避難所が周辺の在宅避難者も把握して支援物資の配布を行ってくださっていますが、岩手日報の記事によれば「行政の周知不足もあり、避難所の物資を在宅者に十分渡さず、トラブルになるケースもある」そうです。

ライフラインの復旧に伴って避難所から自宅や知り合いの家へ移られる方も増えています。避難所で行き先を把握してくれている場合は良いのですが、行き先を告げずに退所される方もいらっしゃるようで、そこから先が行方不明になっています。震災後は住民の流動性が平常時に増して高まっているわけですので、居住者の把握を普段以上にしっかりやるべきだと思います。大槌町は役場の機能がまだ復旧していないことから困難が予想されますが、吉里吉里ではもともと自治組織が住民名簿を整備していたことから、誰がどこに住んでいたかの掌握は早かったと聞きました。

「誰がどこに居るか」というのは、行政サービスのための基礎データです。在宅避難者への物資供給の問題を自治組織の裁量に預けるのではなく、まずはその地域に現在居住されている方のリストを避難所や各自治組織の協力の下に作成すべきです。それを元に各避難所や自治組織が支援を行う範囲を(近隣の個人宅に避難している方の支援も含め)設定することで、メカニカルな仕組みを整備するのが行政の役割だと考えます。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110405_4

 東日本大震災で自宅の被災は免れたものの避難所に通い給食や物資の提供を受けている「在宅避難者」が2万4327人と、全避難者の半数を占めることが4日、県災害対策本部のまとめで分かった。電気や水道などインフラの復旧が進んでいないことや地域の商店が被災していることなどが要因。一部避難所では在宅者に物資が十分行き渡らないケースもあり、県は拠点となる避難所の自治組織づくりなどを通して、在宅者の支援に力を入れる。

 県の3日現在の全避難者は、4万9020人と前回(3月31日)調査より7045人増加した。内訳は避難所生活者が2万4693人、在宅は2万4327人。自衛隊などの協力を得て、大づかみだった在宅者の人数調査を行い、避難者総数が大幅に増加した。

 在宅者は陸前高田市の9757人が最多で、大槌町6848人、大船渡市の3492人と続く。

 陸前高田市高田町の藤野盛輝さん(43)は母と2人暮らしで避難所からの食料で生活する。断水の長期化が一番の不安といい、「風呂の水も給水所からペットボトルで運んでいる。母は足が悪いので大変だ」と話す。

 戸羽太市長は在宅避難者について「救援物資を我慢してしまい遠慮がちな面もうかがえる」としながら「現時点では自衛隊や消防などがニーズの把握も含めてよく対応してくれている」と語る。

 一方、大槌町吉里吉里地区は被災を免れた山側の集落で、他地区から親戚の元に身を寄せる人が多い。久保豊(とよ)さん(62)宅では12人が生活。近所の避難所から食料を受け取り、自衛隊の給水が頼り。町内の商店やガソリンスタンドは被災しており、久保さんは「配給がなければ生活に困る」と訴える。

 同町は在宅者のために避難所の物資を定期的に配給するなど支援を続けている。ただ、県によると行政の周知不足もあり、避難所の物資を在宅者に十分渡さず、トラブルになるケースもあるという。

 県総合防災室の越野修三特命参事は「自治組織がしっかりしている避難所は在宅者への物資供給がスムーズにできている。在宅者の実態把握を進めるとともに、避難所のコミュニティーづくりを支援したい」と話す。

(2011/04/05) 岩手日報Webより引用

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